今回は、ユーザー数9.5億人を誇るTelegramが展開するTelegram Mini AppsでMAU上位10タイトルが、どのような方法でマネタイズしているか調査した結果を記事にまとめます。
Telegramにどのようなマネタイズ方法があるのか、人気タイトルが導入しているマネタイズ方法を把握し、自社プロダクトに導入する際の参考にしていただければ幸いです。
Telegram mini Appsにおけるマネタイズ方法まとめ
最初にTelegram mini Appsにおけるマネタイズ方法をおさらいします。
アプリ内購入 | サブスクリプション | 広告 | トークン発行 | グラント | |
---|---|---|---|---|---|
概要 | ソーシャルゲームおける課金と同じ | 月額利用料の支払い | チャンネル内やゲーム内での広告表示 | プロジェクトのトークンを発行 | 条件を満たすことで賞金獲得 |
具体例 | アイテム ゲーム内通貨 スキン |
広告の削除 追加報酬 ゲーム内の特別な特典 |
テキスト広告 動画広告 |
独自トークンの発行 | The Open League |
採用プロジェクト例 | Catizen | Wizzwoods | TabiZoo | Notcoin Hamster Kombat |
Catizen Vertus |
利用通貨 | 法定通貨/Stars/$TON | $TON/$NOT/$DOGS/Stars等 | Stars/$TON | 発行トークン | $TON |
各項目について解説します。
アプリ内購入
アプリ内購入は開発者(特にゲーム)にとって主要な収益源の1つで、最もイメージしやすいマネタイズ方法です。
ソーシャルゲームにおける課金と同じで、ユーザーがアイテム/キャラクター/スキン/ゲーム内通貨等を購入することで収益になります。
大きな違いとしては、Telegram Stars(以降Stars)経由で課金できる点です。
Starsは2024年にリリースされたばかりのTelegram内でのみ利用できるポイントで、ユーザーがデジタル商品やサービスを購入できるほか、事業者は広告掲載料の支払いに充当できます。
なお、Starsを広告掲載料として利用する際の手数料はほぼ0です。
Starsの購入方法は2通りあります。
- GoogleやAppleを通じて法定通貨で購入
- Fragmentで$TONと交換(Starsから$TONへの交換も可能)
GoogleやApple経由では、プラットフォーム手数料として30%の上乗せがあるため、交換レートが割高になります。
具体例
多くのTelegram Mini Appsがアプリ内購入を導入していますが、ここではCatizenを例に挙げます。
Catizenでは、ゲームの進行速度を上げる$vKittyやFishcoinをアプリ内購入できます。
Catizenのゲームシステムは「【CFO独占インタビュー有り】リリース半年でユーザー数3,000万人を誇る「Catizen」を徹底解説」をご覧ください。
導入方法
どの決済システムを導入するかによっても細かな手順は異なりますが、大まかな導入手順は下図のとおりです。
非常に多くの企業が決済ゲートウェイを提供しており、機能や取り扱い通貨、セキュリティを勘定して決定する必要があります。
有名なサービスとしては、
- Apple Pay
- Google Pay
- Stripe
- PayPal
- Square
- Adyen
がありますが、筆者が触った中では画面遷移が最小限で済むApple Pay/Google Payの採用が多かったです。
ユーザーに暗号通貨取引をさせたい場合は、Telegram WalletのSDKも必要となります。
選択した決済ゲートウェイへの開発者アカウント登録を済ませ、銀行口座をリンクさせると、Telegram Mini Appとの統合に必要なAPIキーを取得できます。
この後はアプリへの実装/デザインに移りますが、支払いを安全に済ませるために、
- HTTPS接続と暗号化によるユーザーデータ保護
- 決済システムの事前テストを十分に実施
といったことに留意が必要です。
成功のインサイト
アプリ内購入の事例として挙げたCatizenは、リリースからわずか4ヶ月で18億円もの売り上げを上げています。
背景には、開発チームのPluto StudioがWeChat等のプラットフォーム上のミニアプリを多数成功させてきたチームであることが関係していると推測します。
アプリ内購入はソーシャルゲームの課金と近いことから、
- 課金を見込める地域でのマーケティング
- 他プレイヤーとの競争
- コレクション要素の導入
- ゲームの質の高さ
のようなソーシャルゲームと類似した知識や経験が求められると考えています。
Telegram特有の要素としては、エアドロップとの組み合わせにより、エアドロップを狙うユーザーからの課金を狙うことも可能です。
Catizenも$CATIのエアドロップを求めるユーザーからの課金が多かったと推測されます。
サブスクリプション
アプリ内購入は買い切りですが、サブスクリプション形式のマネタイズも可能です。
ユーザーはサブスクリプションに加入することで、
- 広告の削除
- 追加報酬
- ゲーム内の特別な特典
等の機能やアイテムを利用/獲得できます。
支払い方法は$TON等に加え、最近のアップデートでStars経由でも可能となりました。
具体例
サブスクリプションの具体例としては、魔法使いを育成する農業ゲームであるWizzwoodsが挙げられます。
Wizzwoodsは執筆時(2024年11月)で200万人のMAUであり、BerachainやTabichainなどの有名チェーンをサポートしています。
本ゲームでは、2つのサブスクリプションプランがあり、購入で30日間以下の効果を獲得できます。
- 作物の収穫スピードアップ
- キャラクターのレベルを上げるのに必要なアイテムを毎日獲得
支払い方法はStarsに加え、$TON/$NOT/$DOGSにも対応しています。
導入方法
導入方法はアプリ内購入と同じで、サブスクリプションに対応した決済ゲートウェイのAPIキーをアプリ内に導入すれば完了します。
成功のインサイト
単発課金に比べると、課金までのハードルが高いです。
主な理由としては、下記が挙げられます。
- 初期費用がかからないアプリが多い
- ユーザー側からすると解約も面倒に感じる
ユーザーに課金する価値があると思ってもらうために、
- 日々のアイテム獲得量を増やす
- エアドロップを施策に取り入れる
ことが有効な施策の1つです。
Wizzwoodsもアイテム獲得量にブーストがかかる設計になっており、$TABIのエアドロップにも繋がるとされています。
一方で課金ユーザーに対するエアドロップのバランスが非常に難しいことも事実です。
配りすぎると事業者の収支が悪化するおそれがありますが、課金ユーザーを損をさせてしまうと信頼が落ち、TGE後は触ってくれなくなってしまう可能性があります。
広告
Telegram Mini Appsの広告(ここではAdsGramを紹介)にはテキストと動画の2種類があり、下記のような特徴があります。
- コンテンツがTelegram上のものに限定
- 出稿側はチャンネルと時間帯を指定可能
- Closeボタンはなく、15秒で自動で閉じる
- ユニークユーザーごとの閲覧制限が最大4回
ユーザーは広告を見ることでゲーム内アイテムやポイントを獲得できる仕組みになっていることが多いです。
広告を受け入れる側の収益は、
- ジャンル
- 1クリックあたりのコスト
- クリックスルー率
- コンバージョン
- フィルレート
- インプレッション
により異なり、広告が1,000回表示されるごとに0.6〜4$の間で変動します。
出稿側は
- 言語
- 地域
- 端末
- Telegram Premium加入ユーザー
- ウォレット保有社
等のターゲットを決め、予算を指定すると、費用対効果が高い表示先をシステムが選定/広告を表示してくれます。
具体例
TabiZooを広告の具体例として取り上げます。
TabizZooはタスクやルーレット等の方法でZOOトークンを貯めるゲームで、Binance Labsから3000万ドルの資金調達も実施しています。
広告は2種類のデイリータスクに組み込まれており、ユーザーが多くのポイントを貯めたい場合に視聴する形式になっています。
- Daily Reward:1日1回ポイントを獲得でき、動画広告を視聴するとより多くのポイントを獲得
- Watch Ads:10分に1度広告を表示することでポイントを獲得
具体的な広告収入は公表されていませんが、MAUである237万人が月2回広告を視聴していると仮定すると、毎月約1,900$の収益を上げられる計算になります。
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